(注)このブログは「Reborn-Art Festival2019」公式ではありません。有馬かおるが個人的に公開しています。

Reborn-Art Festival2019 (8月3日~9月29日)58日間 :公式HP http://www.reborn-art-fes.jp/


世界はやさしい、だからずっと片思いをしている。


展示しているテキスト:


世界はやさしい、だからずっと片思いをしている。

まず、時を遡ろう。1997年(28歳)当時の私は、自己治療(昇華)中。理由は、思春期に「何の取り柄もない、落伍者、バカ」と、言われ続けていたコト、親戚が夜逃げ(父が連帯保証人だった)、我が家は借金返済のため全てを失い、その後離婚にいたり、極度の人間(自分も含む)不信になる。

簡単に言えば、自分と社会を恨んでいた。後に「本来無一物という言葉を知ったり、人は一番大切なモノのために(良くも悪くも)嘘をつく」をポジティブに受け入れるまで。その頃に、とても隠微残酷な「ART DRACULA」展を開催する。
その時の芳名録に岩田さん(犬山のキワマリ荘の大家、私設美術館の館長)が、こう記入していた。「せんは必要なくなったとき そこにあるのかもね」。
全く理解できなかった。彼は「鑑賞は真剣勝負、殺し合いだ!。変なもの見せると死ぬぞ!」って人だった。

<ART DRACULA>

10年後の2007年(38歳)「マイクロポップの時代」展のために、水戸に引っ越すことにした。1998年にto the Living Room  展(ワタリウム美術館)で「半年住む」という展示をしていたコト。や、思いもよらぬ成功によって達成感が生まれ、作品が制作できなくなって(煮詰まって)いた、のもある。引っ越す時、岩田さんに、もらった言葉は「すべては覚悟の問題だ、頑張れ。」だった。

<岩田さんの餞別書道>

岩田さんの書は引っ越しても、常に目に入る壁に飾ってある。自分への戒めである。それから時が過ぎ2019年(50歳)。岩田さんも向こう側に行ってしまった。今、私が彼のような立場になっている。「せんは必要なくなったとき そこにあるのかもね」言葉の意味は今もわからない。今ここでしてることが「そこにある」のかも。




お前の作品は「アートではない」、「自分のためでしかない」と言われながらも、「それでもいい」と歩み続けて来た。そう、これは、芸「術」ではなく芸「道」に(目的を)覚悟を決めた人(文化系極道)の生き方でもある。

そもそも「自分のため」以外の選択があると私には思えない。自分のためが「他者のためになる」か、他者のためが「自分のためになる」かの違いでしかない。「どちらが優れてる」ではない。個の追求の果てに他者性もある。

全ては、繋がっている、生も死も夢も現実も。そしてずっと途中で、ずっと先端。
生きる永遠、死ぬ永遠。

<うのなとなのまにまに せもしもしらずいのまふるふる>
これを岩田さんに見せた時、「お前そのものだな」と言われたことを今でも思い出す。だから「何」だ、と声がする。

<個の追求の果てにある他者性と、その奥にある風景>

「ファウストを読め!!」岩田さんに再三言われた。思い出す度に読み返す。自己治療の作品が終わった後で、もう一度大成する作家は稀らしい。その代表がゲーテの「ファウスト」らしい。

いつか、向こう側に行って、岩田さんに会えたら、「世界はやさしい、だからずっと片思いをしていた。」って言うだろう。そして、多分「死ね!」って言われる。


20190803 有馬かおる(終)


山形藝術界隈がどうして市街地エリアに!?



山形藝術界隈がどうして市街地エリアに!?と質問があったので選出理由など。まず石巻の作家がメインでいるのはわかる。では、その作家が育ち目標とするシーンはなんですか!?。関東でも、関西でもなく東北のアートシーン。その東北のアートシーンに現れた新生が山形藝術界隈。

私の展示やキュレーションは分かりにくい、と言われています。それは、一点透視的思考のように消失点(目標、目的)があることを避ける。二極化を避ける。太極思想のように白の中に黒を入れてしまう。などがあります。ゲームでいえば、オープンワールドゲーム。実はこれ山形藝術界隈に似てるんです。

石巻の作家(市民)は文化や芸術の方向性を色々選べます。マンガ的、山形芸術界隈(東北)的、ART DRUG CENTER(自己治療)的?などなど、今回はこの辺でやめす。これが山形芸術界隈を選出理由。

前回、RAF2017で、パープルームや、XYZ collectiveの参加をキュレーターに見せた時、「パーなに!?、XYん!!?」って感じでした。今回は山形芸術界隈がそこのポジション。美術は物産展だと思っていて、今はNY産が人気。現在、界隈は東北でしか採れないアートをもぎたて販売している。

って言うと、界隈は個人でバラバラに色々なところで活動してるじゃないか!?って話になりますが、今回は「山形芸術界隈」としてRAF2019にエントリーしています。

補足でいえば、山形藝術界隈は一年前からガルバナイズギャラリー(石巻のキワマリ荘1F)にで、通年企画展を開催し、ずっと準備していた経緯はあります。ただし、参加できるかは賭け(未定)でした。